2020年度決勝大会 創価女子短大が2度目の大賞に

社会人基礎力育成グランプリ

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授業やゼミ活動を通して社会人基礎力の成長を競う「2020年度 人生100年時代の社会人基礎力育成グランプリ」(主催:一般社団法人社会人基礎力協議会)が2021年3月17日に開催され、創価女子短期大学が社会人基礎力大賞を受賞。同短大は2018年度の大会でも大賞を獲っており、今回で2度目の受賞です。新型コロナウイルスの影響で地区予選大会、全国決勝大会ともにオンラインでの開催となりました。

社会人基礎力育成グランプリとは

社会人基礎力協議会が、大学等での社会人基礎力の育成に関して大きく成長をとげた学生らの表彰を通じて、各大学の効果的な取り組み事例を広く多くの方々に周知する目的で開催。例年、全国で地区予選大会を開き、代表チームが決勝大会でグランプリを競います。

3地区予選を勝ち抜いた6チームが参加

冒頭、社会人基礎力育成グランプリ委員会の市川純章委員長(諏訪東京理科大学工学部教授)から挨拶がありました。新型コロナによって大会開催が危ぶまれましたが、「大学教育のオンライン化が進んだ中、今までとは違った活動における社会人基礎力の成長やオンライン授業での工夫など、コロナ禍ならでは取り組みがある」と、オンラインでの開催を決断した背景を説明しました。

決勝大会に参加できたのは、全28チームが参加した3つの地区予選大会を勝ち抜いた6チーム。トップバッターは京都芸術大学芸術学部です。「社会実装プロジェクト」という授業に参加した学生40人の活動です。伝統文化・産業の継承・発展を目的に、伝統工芸に伝わる道具、技術、素材をリサーチし、それらを動画などの映像として社会に発信しました。伝統工芸の職人さんたちと一緒にコラボ商品を開発したり、ワークショップを開催したりと、京都ならではの活動と言えるでしょう。

旅行会社と一緒に商品を開発するプロジェクトに挑んだのは、流通科学大学人間社会学部観光学科。ゼミ活動として海外旅行企画コンテスト「学生と旅行会社でつくる」に参加し、一次審査を経てから、読売旅行に協力してもらった企画を作り上げ、最終審査で準グランプリという成果を収めました。中国・台湾・日本といった異なる国籍の学生3人は「言いたいことがうまく伝わらないこともあったが、丁寧にコミュニケーションを重ねて意思疎通を図った」と振り返りました。

大会初の高専出場 準大賞と審査員特別賞

2020kisogp_1.jpg 阿南高専チームのプレゼン
今大会には初めて高専の参加がありました。徳島県の阿南工業高等専門学校創造技術工学科チームです。「イノベーション実習」という授業を履修している2年から4年生の学生たちは、学校で学ぶ電気技術に関する模擬会社の活動を発表。社員の採用、事業計画策定、営業活動などすべてを学生社員たちが担い、仮想通貨で売上まで立てていました。会社経営を通して社会人基礎力を身につけ、成長することができたようです。このユニークな実習内容と学生たちの成長が高く評価され、準大賞と審査員特別賞のダブル受賞となりました。

大賞には児童虐待をテーマにした創価女子短大

2020kisogp_2.jpg 創価女子短大のメンバー
4番目に登場したのは大賞に輝いた創価女子短期大学国際ビジネス学科。児童虐待で苦しむ親子を救うための「児童相談所虐待対応ダイヤル189」の普及活動です。社会問題にもなっている重いテーマに向き合い、CM動画を作成し、関連する団体から高い評価を得ました。活動当初は子どもを守ることが主目的でしたが、関係者に話を聞く中で、子どもだけでなく親も苦しんでいることを知り、実際に虐待に苦しむ親子に配慮した「189」を紹介するCMが完成しました。動画はyoutubeでも見ることができます。

拓殖大学商学部経営学科チームは、ゼミで学んでいるSDGsに関する知識を生かした「拓殖大学のプラスチック削減活動」について。学内アンケートの結果、ペットボトル飲料購入者が多いこと、マイボトルは持っているが使っていないことなどが分かり、マイボトルの利用促進運動とウォーターサーバーの設置を大学に働きかけました。21年6月にはウォーターサーバーの試験導入が決まり、マイボトルの利用促進運動を展開する計画です。

常連、福岡女学院は『ホールケーキの日』で準大賞

2020kisogp_3.jpg 福岡女学院のプレゼン
最後は、福岡女学院大学人文学部現代文化学科の「現代文化演習Ⅱ」という必修科目です。創業100年を超える福岡の老舗洋菓子店と連携し、幸福シーンの最大化という目標を掲げて『ホールケーキの日』を創設し、全国的な浸透を目指しました。カレンダーの"1"日の下に必ず"8"日が来ることをから、"1"をローソク、"8"をホールケーキに見立て、毎月8日を『ホールケーキの日』として販促活動することを提案、日本記念日協会に正式に認定されました。記念日の創設、ケーキの販促と結果を残し、見事準大賞に輝きました。

審査員長である実践女子大学文学部の深澤晶久教授からは、各チームに対する講評やねぎらいの言葉がかけられました。最後、社会人基礎力協議会の長尾素子代表理事(拓殖大学商学部教授)は「この1年、グランプリ開催に向けて、協議会自身が社会人基礎力を試された年になった。社会人基礎力は人生を豊かにし、課題を乗り越えるため必要になると改めて感じた。そして、基礎力とともに、今日、この場で発表できたことに、みんなで感謝の気持ちを持ってほしい」と締めくくりました。

オンライン中心の活動を、オンラインで発表するという初めての取り組みでしたが、学生たちはリアルな活動と変わらぬ成長を遂げ、グランプリでの発表もリアルと変わらぬ熱量を感じることができました。コロナ禍での学業という逆境にあっても順応し、仲間と一緒に困難を乗り越えた学生たちは、withコロナ時代の社会人基礎力を身につけ、成長したようです。

※社会人基礎力とは
社会人基礎力とは「職場や地域社会の中で多様な人々とともに仕事する上で必要な基礎的な能力」として、経済産業省が2006年に提言した能力。「前に踏み出す力(アクション)」「考え抜く力(シンキング)」「チームで働く力(チームワーク)」の3能力と、「主体性」「働きかけ力」「実行力」(以上、前に踏み出す力)、「課題発見力」「計画力」「創造力」(以上、考え抜く力)、「発信力」「傾聴力」「柔軟性」「情況把握力」「規律性」「ストレスコントロール力」(以上、チームで働く力)の12能力要素で構成されています。