挑戦!リモートインターン(上)17大学61人学生がZoomで参加

インターンシップの行く先

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新型コロナウイルスの感染拡大によって、多くの大学で教育としてのインターンシップが中止になりました。そんな中、一般社団法人産学協働人材育成コンソーシアム(CIAC)が2020年8月下旬から9月中旬にかけて、全国の17大学と企業15社を集めて5日間のリモートインターンシップを開催しました。withコロナ時代の新しいインターンシップの形を紹介します。

学生・教職員78人がzoomで事後学習に参加

2020年9月12日、土曜日の午前10時から始まった事後学習には、学生61人、教職員17人がビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」で参加しました。冒頭、京都産業大学の松高政准教授による「なぜ振り返りをするのか?」「企業はなぜガクチカを質問するのか?」という事後学習の趣旨説明があり、その後、学生たちはグループに分かれて振り返りを始めました。

同じ企業に参加した学生たちがブレイクアウトルームに集まり、「グループの活動は何点だったか」「各メンバーが果たした役割は何か」「自分の良さを発揮できたか」「もっとこうすればよかったこと」などについて話し始めます。自己評価を75点にしたグループでは、こんなやり取りが交わされていました。チームリーダーが「リーダーとしては煮え切らなかったことがあった。率先して意見を出すことを意識したが、足りない部分が多く、みんなに助けられた」と反省の言葉を並べると、「そんなことはないよ(笑)」とメンバーたちが反応をします。続いてサブリーダーが「リーダーが困っているときに周りを巻き込む声掛けができた」と自己評価。他のメンバーたちも「自分で自分のことを評価するのと、他の人から評価されるのでは違う。みんなからフィードバックをもらってグッと来た」「自分なりに工夫できた」と振り返っていました。

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参加メンバーたちが涙を流すという感動のフィナーレを迎えたチームもありました。「インターン中の3日間、社員方が私たちを下の名前で呼んでアットホームな環境を作ってくれた。メンバー同士がとても仲良くなれた」と、リーダー役の女子学生が笑顔で語りました。最後の発表会では、参加メンバー全員が感極まって泣いてしまったといいます。オンラインインターンシップでも、リアルなインターンシップ並みに学生同士の絆が深まったようです。

他にも、「司会をやって分かったけど、グループ討議で黙ったらあかんなー。Zoom上では沈黙になったらしんどい」「工学系で普段は男子学生しかいないのに、インターンでは異性しかいなかった。異性が多い職場の難しさを感じた」「進行係に挑戦し最後までやり切って良かった」といった感想がありました。

「僕たちももっと専門分野の勉強を」

各グループでの振り返りの後は全体共有の時間となり、グループ代表がワークで得た気付きを発表。このようなグループワークと全体共有を繰り返して報告会は進みます。同じ大学の学生が集まった時間もありました。「うちの学生は自分たちだけでかたまりがちな面があるが、他の大学の学生たちと触れ合えてそれではダメだと気付いた」といった意見や、「〇〇大学の学生は専門的な意見を出していた。僕たちももっと専門的な意見を言えるように専門分野の勉強をしないと」といった声がありました。他大学の学生とのインターンシップ経験が学生たちに良い刺激を与え、成長のきっかけとなったようです。

最後は全体でインターンシップ参加の感想を共有して終了に。ある大学職員が「事前学習の時には死んだ目のような学生もいたが、最終日にはみんな目が輝き、自らの体験を積極的に話していた」というほど、前向きな感想で溢れました。
「最初は、"今日はインターンシップか、嫌だな"と思っていましたが、やっていくうちにどんどん楽しみになっていった。実習の3日間はあっという間でした」
「私の参加した企業では最後、学生も企業の方も涙を流すというカオスな状況になった。たった3日間でしたが、全員がとても深い関係になれました。ここで得たものを忘れず、これからの学生生活に取り組んでいきたい」
「今回のインターンシップを通して特に感じたことは、企業の方も他大の学生の方も、自分では絶対に言えない意見を言っていてすごく刺激になった。この刺激を絶対忘れずに大学生活や就活に生かしていこうと思いました」
「今回は悪いところも含めて自分のいろいろことを知ることができました。また、社会人の方の仕事とは何か、働くとは何かという考えを聞くことができて本当に得るものが多かった」
「初めてインターンシップに参加し、緊張して自分をうまく出すことができませんでした。自分に足りない力を痛感できたのは意味がある」

ずっとパソコンの前はしんどい

また、リモートならではの率直な声も紹介します。
「ずっとパソコンの前に座っているのがすごく大変でした」
「リモートはすごく眠くなって疲れました」
「じっと座っているのも退屈なので、途中で目覚ましとしてラジオ体操をやった方がいい」

このような声も、リモートインターンシップを実施する大学にとっては貴重なアドバイスになるでしょう。新型コロナによって実現した複数大学による合同リモートインターンシップはこうして無事に終了。ただ、ここに来るまで、参加企業向けオリエンテーション、学生向け事前学習、就業実習などがありました。全体プログラムについて簡単に説明します。

学生・社員それぞれのキャリア形成が目的

リモートインターンシップは8月20日午後、参加企業の社員向けオリエンテーションから始まりました。大学側と参加企業側のインターンシップ実施の目的、プログラム内容、学生への会社説明会の内容、事前課題など、両者の考えのすり合わせです。特に、大学側は会社説明会代わりになっている企業主導のインターンシップではなく、「学生、社員それぞれが生き方、働き方を考えるキャリア形成」を目的としたプログラムであることを伝えました。このため企業向けオリエンテーションでも、社員が「仕事、働く、キャリアビジョン」について語るグループワークを用意したのです。参加企業はオリエンテーション参加に加え、学生向けに自社紹介、課題説明の動画5分を準備するなど、万全の受け入れ体制を整えました。

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次は8月29日、学生向けの事前学習。参加学生全員による自己紹介から企業に提出する「自己紹介動画」の作成方法、リモートインターンシップでのマナー講座に加え、「参加目的の共有」や「withコロナの社会と働き方を考える」、同じ企業に参加するメンバー同士の自己紹介など、グループワークもありました。就活を控えた3年生に限らず入学したばかりの1年生がいることや、コミュニケーションを取りにくいリモート環境での実施を考えると、実習本番前に学生たちの緊張をほぐすために必要な準備といえるでしょう。

そして、いよいよ実習です。実習にも参加学生と受け入れ企業の社員による顔合わせのグループワークなどをするため、5社ずつ3日に分けて(9月2日、3日、7日)実習初日を設定しました。初日午前中は社員の皆さんが「働くとは何か」「仕事とは何か」「今後のキャリアビジョン」について語ってくれました。仕事とは「生活するために必要なこと」「お金のため」「食うため」といった現実的な話や「自身を成長させるもの」「信頼関係を築くこと」「責任を全うするためのもの」といった話も。そして、午後から個別企業に分かれて3日間のリモート就業実習がスタートしたのです。

実習終了後に学生にアンケートを実施し、今回のプログラムで「達成できた点」「できなかった点」など答えてもらい、企業にフィードバックしました。この学生からの声を各社のリモートインターンシップやWEB面接などに活用してもらうためです。インターンシップに協力してもらう代わりに、企業にも何らかのメリットを提供することも忘れていません。

インターン中の学生を見ることができた

北海道から九州まで全国17大学と、民間企業15社が集まって実施されたリモートインターンシップ。新型コロナウイルスの影響で、多くの大学主導のインターンシップが中止になりました。今回、リモートという形で新たなwithコロナ時代のインターンシップが示されました。担当した大学教職員からは「これまでのインターンシップは就業先の学生の姿を見ることはできなかったが、リモートでは学生たちの姿を見ることができたのが良かった」という感想がありました。リモートインターンシップにはリアルとは違う新たなメリットもあるようです。

■参加大学 東北福祉大学、北翔大学、鶴見大学、大手前大学、尾道市立大学、下関市立大学、デジタルハリウッド大学、愛知みずほ大学、京都産業大学、山野美容芸術短期大学、東北学院大学、埼玉女子短期大学、新潟大学、広島文教大学、湘北短期大学、横浜市立大学、福岡工業大学

■参加企業 株式会社ハミングバード・インターナショナル、株式会社マツオ、株式会社エイジェック、株式会社アイテム、株式会社キャステム、株式会社松岡、株式会社ティ・ジョイ、株式会社美里花き流通グループ、ワタキューセイモア株式会社、株式会社八芳園、株式会社WAO STYLE、株式会社スティーブアスタリスク、株式会社ストライプインターナショナル、株式会社ホクエツ信越、リコージャパン株式会社


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